世界的リーダーら、マラリア制圧推進のためのカウンシルを立ち上げ

マラリア・ノーモア・ジャパンの米国本部 Malaria No More (MNM米国本部)の共同創設者 レイ・チェンバースとピーター・チャーニンは、ビル・ゲイツ氏ら9名の官民両セクターに影響力を持つリーダーとともに、マラリア制圧を推進するためのカウンシルを発足しました。本カウンシルに関する詳細は、MNM米国本部のニュースリリース、或いは、以下日本語訳をご参照ください。
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「世界的リーダーら、マラリア制圧推進のためのカウンシルを立ち上げ」
ビル・ゲイツとレイ・チェンバース、マラリアを永久に撲滅するための意識向上、および資金調達推進に向けて、「END MALARIA COUNCIL(エンド・マラリア・カウンシル)」を招集
ダボス(スイス)、2017年1月20日―ビル・ゲイツ(ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同議長)とレイ・チェンバース(アジェンダ2030保健分野およびマラリアに関する国連事務総長特使)は本日、エンド・マラリア・カウンシルの発足を発表しました。これはマラリア制圧を世界的な最優先課題にすることを目指す官民両セクターの影響力をもつリーダーによって構成されるグループです。
「ここからマラリアとの闘いの次章が始まります」と、2015年にチェンバースとともに『行動に対する志―マラリアを撲滅するために何が必要か?(Aspiration to Action: What will it take to end malaria?)』と題する報告書を著したゲイツは述べました。「史上初めて、私たちはマラリアのない世界への地図を手にしています。そこにはもう、蚊に刺されて死ななければならない人はいません。認識を新たにし、革新的技術、そしてリーダーシップと資金調達という課題に新たに取り組むことで、私たちはマラリアを排除する世代になれるのです。」
エンド・マラリア・カウンシルは、世界保健機関による『2016年版世界マラリア報告書(2016 World Malaria Report)』発行のわずか1ヶ月後に発足しました。この報告書では、2000年以降、マラリア症例数およびマラリアによる死者数の減少に著しい進歩がみられることを示しつつも、さらに目標達成に向かって順調に進むためには世界的なリーダーシップと新たな資金調達、ならびに革新的技術が緊急に必要であることを強調しています。
エンド・マラリア・カウンシルのメンバーは、ロールバック・マラリア・パートナーシップ(Roll Back Malaria Partnership)および他の主要なパートナーと協力して、各国・地域がマラリアのコントロールと制圧目標を達成できるよう、手助けすることになります。このユニークなグループのメンバーは、その発言力とネットワークを利用して、政治的意思の構築、リソースの動員、マラリアの発見・予防・治療のための新たなツールの開発支援という3つの分野を中心に、マラリアのフィールドワーカーや科学者、専門家らによってすでに進行中の取り組みを支援します。
本カウンシルの設立メンバーは9人です。彼らはアフリカ、アジア、ラテンアメリカにおける重大な経済ギャップを埋める戦略についてスイスのダボスで討議した世界経済フォーラムの年次総会で出会いました。エンド・マラリア・カウンシルには、今後、マラリアが風土病となっている主な地域すべてから、代表者が参加するようになると思われます。
設立メンバーは以下の通りです:
• ビル・ゲイツ/ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同議長兼理事
• レイ・チェンバース/アジェンダ2030保健分野およびマラリアに関する国連事務総長特使
• ピーター・チャーニン/チャーニン・エンターテインメントおよびチャーニン・グループ創設者
• アリコ・ダンゴート/ダンゴート・グループ社長兼最高責任者
• イドリス・デビチ/ャド共和国大統領(アフリカリーダーズ・マラリア・アライアンス[African Leaders Malaria Alliance]代表)
• ジャカヤ・キクウェテ/タンザニア連合共和国前大統領
• グラサ・マシェル/地域開発基金(Foundation for Community Development)(モザンビーク)設立者
• ルイス・アルベルト・モレノ/米州開発銀行総裁
• エレン・ジョンソン・サーリーフ/リベリア共和国大統領
強力なリーダーシップ、賢明な投資、および官民両セクターによる熱心な取り組みにより、2000年以降、世界のマラリアによる死者数は半減し、この病から600万人以上の命が救われました。特にサハラ以南のアフリカでは、5歳未満の小児におけるマラリア関連死者数はかつてないほど少なくなっています。これは主に、診断・治療が大きく普及したこと、ならびに過去3年間に500万枚以上という前代未聞の規模で殺虫剤処理した蚊帳が配布されたことによるものです。
しかし、マラリアは農村部の貧しい人々や若者を犠牲にしており、今なお2分に1人の割合で子どもが亡くなっています。マラリアは生産性を妨げ、家族に医療費の負担を強い、教育到達度を制限し、経済成長全体を失速させます。
「私たちは、マラリアとの闘いにおいて重要な岐路に立っています」とチェンバースは言います。「この病気を制圧するためには、資金調達に創造的なアプローチが必要です。それは援助国の継続的支援と、特にマラリアの影響を受けている国々のコミットメントを拡充するという新たなアプローチとを結びつけるものです。」
マラリア制圧は手の届くところにありますが、今後数年間が重要となります。成功に必要なことは、今日までの進歩を維持すること、マラリアが風土病となっている国々のマラリアコントロールを達成すること、そして可能な地域では制圧に向かって加速化することです。アフリカとアジアの指導者たちは、それぞれの地域において、意欲的なマラリア制圧計画を採択しており、その大目標達成に向けて症例数および死者数の減少化に懸命な努力を続けています。
「かつて、マラリア制圧は叶わぬ夢でした」と、タンザニア共和国前大統領のジャカヤ・キクウェテは述べています。キクウェテ前大統領は幼少時に兄弟をマラリアで亡くしており、在任中はマラリアを重要優先課題としてきました。「今、マラリア制圧は手の届くところまで来ています。そのためには強力なリーダーシップと大規模な資金調達が必要です。しかし、私たちは歴史を作り、この残忍な病気を排除できると私は信じています。」
より詳細な情報は、エンド・マラリア・カウンシルのウェブサイトをご覧ください。
(文責: マラリア・ノーモア・ジャパン事務局)