アジア太平洋におけるマラリア排除は大きな投資対効果をあげることができる

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)グローバル・ヘルス・グループの「マラリア排除イニシアティブ(MEI)」がアジア太平洋リーダーズ・マラリア・アライアンス(APLMA)、アジア開発銀行(ADB)及びビル&メリンダ・ゲーツ財団の支援を得て行った研究結果により、アジア太平洋でマラリアを排除する費用と利益の推定額及び、大きな投資対効果をもたらす可能性があることが明らかになりました。

アジア太平洋でマラリアを排除することの経済的利益を数字に表したのはこの研究が初めてで、その結果によると40万人の命を救い、1億2300万件のマラリア感染を防ぐことができ、推定900億米ドルの保健医療分野の費用等を節約できるということです。

マラリア排除と経済の関係を査定するためにMEIはバングラデシュ、インドネシア、パプアニューギニア(PNG)の3か国及びアジア太平洋と大メコン圏(GMS)の2つの地域のマラリア投資ケースを開発しました。そして、マヒドン・オックスフォード熱帯医学研究ユニット(MORU)がMEI及びケープタウン大学が協力して作成した伝搬モデル「アジア太平洋におけるマラリア排除・伝搬・費用(METCAP)」を使って、経済・社会利益を推定し、以下の結果が得られました。

マラリア排除の費用と利益の予測概要

(金額の単位:米ドル)

現在のマラリア活動費 排除達成費用 救えた命 防げたマラリア感染 投資対効果 発生した経済効果
バングラデシュ 204万 3億4400万 1,577 829,605 7:1 3億
インドネシア 1億4700万 20憶 41,000 2500万 10:1 180憶
PNG N/A 4億2500万 7,000 390万 9:1 19億
GMS N/A 25億 91,000 2350万 5:1 90憶
アジア太平洋 N/A 290億 400,000 1億2300万 6:1 900憶

民間セクターの専門技術やリソースを動員することは、この地域のマラリア排除に向けての進展を加速するのに肝要です。MIEは、民間セクターがマラリア排除に投資する際のモティベーションや実現要因、インセンティブを査定するために、GMS、バングラデシュ、インドネシア及びPNGにおけるビジネス事例研究を行っています。

またマラリア排除の達成のためには、保健システムや公衆保健プログラムにおいて、利用可能なリソースが効率的に使われ、金額に見合う価値を提供できるようにする必要があります。MEIはマラリア・プログラム・マネジャーがマラリア・プログラムの技術的効率性に関連したデータを収集し、整理して追跡するのを支援するために「マラリア・プログラム効率性分析ツール(MPEAT)」を開発しました。MPEATはバングラデシュ、インドネシア及びPNGで、価値を最大限にして無駄を削減し、リソースを節約するために強化するべき分野を見出すために使われていいます。

関連リンク

UCSFホームページ(英語)

http://www.shrinkingthemalariamap.org/what-we-do/economics-financing/financing-elimination-asia-pacific

本研究に関するQ&A (英語)

http://www.shrinkingthemalariamap.org/news-blog/blog/qa-understanding-new-economic-evidence-accelerate-malaria-elimination-asia-pacific

アジア太平洋におけるマラリア排除・伝搬・費用(METCAP)(英語) http://www.metcapmodel.net/

民間セクター事例研究(英語)

マラリア・プログラム効率性分析ツール(MPEAT)(英語)

http://www.shrinkingthemalariamap.org/sites/www.shrinkingthemalariamap.org/files/content/page/mpeat-mastersheet_final.xlsx

マラリア・プログラム効率性分析ツール(MPEAT)使用者用マニュアル(英語)

http://www.shrinkingthemalariamap.org/sites/www.shrinkingthemalariamap.org/files/content/page/mpeat-manual-7-2017-online.pdf