第8回ゼロマラリア賞は斉藤美加・琉球大学医学研究科・助教、NGOチームがじゃん代表 八重山からマラリアが一掃されてから60周年 マラリア排除の偉業を伝える
特定非営利活動法人マラリア・ノーモア・ジャパン(東京都千代田区、代表理事:神余隆博)は、4月25日の世界マラリアデーに、第8回ゼロマラリア賞を斉藤美加(さいとう・みか)琉球大学医学研究科・助教、NGOチームがじゃん代表へ贈ることを発表しました。これまでの沖縄の蚊媒介性感染症である八重山のマラリア対策の歴史の再評価の取り組みとシチズンサイエンス実践による実証が高く評価されました。
5月10日、琉球大学(沖縄県)にて、斉藤美加さんへの授賞式が行われ、Malaria No More Japan理事の長島美紀より斉藤美加さんへ、賞状が授与されました。
受賞に当たり、斉藤さんからは、「来年、八重山からマラリアが一掃されてから60周年を迎えます。八重山を含む多くの国内外、多世代の方々に八重山のマラリアに関心を持っていただき、マラリア排除の偉業が正しく評価されることを祈っています」とのコメントを受けました。
日本で唯一のマラリアに特化した市民社会組織であるマラリア・ノーモア・ジャパンでは、ゼロマラリア賞を通じて、より多くの方が、マラリアや感染症について関心を持ち、アクションを起こすきっかけになればと考えています。
本受賞に関して、琉球大学のウェブサイトでもご掲載いただきました。
ゼロマラリア賞とは
「2030年までにゼロマラリアを達成する」という国際社会の目標に寄与する活動に取り組む、あらゆる分野の個人、団体を対象に、表彰しています。2014年の開始以来、公益社団法人日本青年会議所の蚊帳配布キャンペーン(2014年)、マラリア研究を行う個人の研究者(2015年、2016年)、沖縄におけるマラリア制圧の取り組みの記録を残した著者及び出版社へ(2017年)、蚊に関する創作落語の上演(2018年)、アジア・メディカル・イノベーション・コンソーシアム(AMIC)マラリア部会(2019年)、國井修・グローバルファンド戦略・投資・効果局長(2020年)へと、支援事業や研究にとどまらず、様々な立場からのゼロマラリアへの貢献を評価し、表彰しています。
斉藤美加氏のコメント全文
この度、栄誉ある賞を賜り、身に余る光栄です。これまでの研究にご協力・ご支援いただきました皆さまに、心より感謝申し上げます。私は長年、蚊媒介性感染症に関わってきました。その中で八重山の蚊媒介性感染症であるマラリア対策の歴史から、人々がサイエンスを持ち行動することの重要さ、強制力のありかたなど、今日につながる多くを学びました。来年、八重山からマラリアが一掃されてから60周年を迎えます。八重山を含む多くの国内外、多世代の方々に八重山のマラリアに関心を持っていただき、マラリア排除の偉業が正しく評価されることを祈っています。また、これからも、疫学研究やシチズンサイエンス実践を通して、蚊媒介性感染症のない地域づくりや社会実装に取り組んでいきたいと思っています。
【本賞に関する報道機関からのお問い合わせ先】
認定NPO法人マラリア・ノーモア・ジャパン 担当:飯塚・長島
TEL:03-3230-2553 Email: info@malarianomore.jp
本プレスリリース(PDF)はこちらから→202010425zeromalariaaward_release
ゼロマラリア賞とは
マラリア制圧のために取り組む個人、団体を表彰するもの。具体的な支援事業の実施に留まらず調査研究、情報発信、またマラリアという言葉の認知率向上のためのアイデア作りなどに取り組む個人など、マラリアに関わるあらゆる分野の個人、団体を対象に、2014年に認定NPO法人マラリア・ノーモア・ジャパンによって設立されました。
- 第1回(2014年度)受賞者 公益社団法人日本青年会議所
長年の国際青年会議所による蚊帳をアフリカの子どもに送るキャンペーン「Nothing But Nets」に協力する活動が評価 - 第2回(2015年度)受賞者 川本文彦・大分大学名誉教授
アクリジンオレンジ染色顕微鏡検査法の開発、並びにマラリアとG6PD欠損症の分子疫学的研究で世界的にも有名な研究者の研究に対して - 第3回(2016年度)受賞者 小林潤・琉球大学教授
長年ラオスでの活動を実施などアジアでの活動に対して - 第4回(2017年度)受賞者 南山舎による南風原英育著「マラリア撲滅への挑戦者たち」出版活動
日本で最後まで残った所謂「戦争マラリア」およびその後のマラリア制圧の沖縄県での取り組みを丹念に取り上げ、戦争マラリアの実態を紹介した書籍『マラリア撲滅への挑戦者たち』の出版活動に対して - 第5回(2018年度)受賞者 桂歌助・落語家
狂言「蚊相撲」をヒントに作られた、創作落語「蚊相撲」を通じて、マラリアや蚊が運ぶ病気について、エンターテインメントから情報発信を行ったことに対して。 - 第6回(2019年度)受賞 アジア・メディカル・イノベーション・コンソーシアム(AMIC)マラリア部会
同会でこれまで推進されてきたアジアおよびアフリカ地域におけるマラリア制圧のための産官学民が連携した具体的な取り組みに対して。 - 第7回(2020年度)受賞 國井修・グローバルファンド戦略・投資・効果局長
これまでの感染症対策・事業への長年の貢献に対して。
斉藤美加(さいとう・みか)略歴
琉球大学医学研究科・助教、NGOチームがじゃん代表。
琉球大学医学研究科ウイルス学助教。NGO「チームがじゃん」代表。熱帯医学、蚊媒介性感染症、特に日本脳炎ウイルス、デングウイルスなどのフラビウイルス感染症が専門。JICAのラオスのデング流行の対策で1994年ラオス国保健大臣賞。現在、沖縄の蚊媒介性感染症である八重山のマラリア対策の歴史の再評価を行なっている。18年よりシチズンサイエンス実践による「がじゃん(沖縄で蚊の意味)」が運ぶ病気のない地域づくりの活動をしている。令和2年日本熱帯医学会女性賞。獣医師、獣医学博士。
八重山のマラリア史: https://arcg.is/1y0qHC