アフリカの子どもの命を救う第一歩に。世界保健機関(WHO)が世界初マラリアワクチンを承認

10月6日、WHOのリリースを受けて、RBMパートナーシップが声明文を発表しました。

アフリカの子どもの命を救う第一歩に。
世界保健機関(
WHO)が世界初マラリアワクチンを承認

マラリアによって命を落とす子どもをゼロにする取り組みには、

既存および新規のツールへのさらなる投資とその最適化が求められる。

(ジュネーブ、2021/10/6)マラリア撲滅のためのRBMパートナーシップ(RBM)は、本日、世界保健機関(WHO)が、サハラ以南のアフリカおよび熱帯熱マラリア原虫の感染率が中程度から高い地域の5歳未満の子どもに対する補完的な予防手段として、史上初のマラリアワクチンの導入を拡大するという歴史的な勧告を出したことを歓迎します。

CEOであるアブドゥラハム・ディアロ博士は、次のようにコメントを発表しました。

今回のWHOの発表は、世界のマラリアコミュニティにとって歴史的な出来事であり、RBMは、マラリアの革新における30年以上にわたる多くのパートナーのコミットメントと努力による第一歩を祝福します。

本日の発表は、マラリア対策への革新的な投資がいかに人命を救うかを如実に示しています。マラリア対策の進展を加速させ、より多くの命を救うためには、早急にマラリア負荷が高い国において、すべての有効なツールへのアクセスを増やし、その使用を最適化するとともに、コミュニティによる症例管理を拡大する必要があります。

RTS,S(マラリアワクチン)は、増加する利用可能な手段に新たな選択肢を提供するものであり、殺虫剤処理済蚊帳や室内残留散布剤など、命を救うための他の効果的な介入策と併用することで、このワクチンは年間数万人の子どもたちを救う可能性があります。

本日の勧告を受けて、各国は、疫学、供給、コスト、物流などの様々な検討事項を評価することで、RTS,Sがマラリア予防・制御戦略を補完できるかどうか、また、いつ、どこでRTS,Sが最も効果的に使用できるかを判断する必要があります。そのため、ワクチンの資金を調達し、使用を決定した国がすぐにアクセスできるようにするために、さらなる投資を動員する必要があります。

RBMは、マラリア流行国と今後も協力して、RTS,Sを含むマラリア予防・制御ツールの最適な組み合わせを決定するために、データに基づいたアプローチを継続していきます。また、ツールを組み合わせた場合の影響を評価するための調査・分析の強化も歓迎します。

しかし、マラリアを撲滅するためには、「ひとつの方法ですべてを解決する」というアプローチはありません。マラリアゼロを達成するためには、ドナー国やマラリア常在国も、急速に進化する蚊やマラリア原虫に先んじて、ワクチンや生物製剤、ベクターコントロールなどの次世代技術の開発を加速するために投資を続けなければなりません。

各国がそれぞれのニーズに合わせて適切なツールを利用できるようにし、マラリアによる死者が出ないようにするためのツールへのアクセスを促進し、マラリア対策イノベーションへの投資を増やすことで、マラリアを撲滅し、すべての人に健康で、より公平で、より豊かな世界を提供することができるのです。

2019年に初めて試験的に導入されたRTS,S/A01ワクチンは、5歳未満の子どものマラリアに対する部分的な予防効果が示された世界初のマラリアワクチンであり、WHOが使用を推奨する初めての対マラリアワクチンです。過去2年間、ガーナ、ケニア、マラウイの保健省は、WHOがコーディネートした大規模なパイロットプログラムを通じて、COVID-19のパンデミックが続いているにもかかわらず、5歳未満の子ども80万人に200万回以上のワクチンを投与してきました。

過去20年間、資金の増加、政治的なコミットメント、革新的なツールにより、マラリアの世界的な感染者数は劇的に減少し、150万件の感染を防ぎ、760万人の命を救うことができたと推測されています。しかし、2015年以降、高負担国ではマラリア対策の進捗率が頭打ちとなり、世界的にもマラリア対策への投資が減少しています。


*このアプローチは、WHOとRBMが提唱する「高い疾病負荷から高い効果へ(High Burden to High Impact)」という国主導のアプローチの中核をなすものです。