第10回ゼロマラリア賞は八重山ゼロマラリア達成の碑建立期成会へ

プレスリリース(PDF)

 

特定非営利活動法人マラリア・ノーモア・ジャパン(東京都千代田区、代表理事:神余隆博)は、4月25日の世界マラリアデーに、「2030年までにゼロマラリアを達成する」という国際社会の目標に寄与する活動に取り組む、あらゆる分野の個人、団体を表彰する目的で創設した「ゼロマラリア賞」の第10回受賞団体を、「八重山ゼロマラリア達成の碑建立期成会」とすることを発表しました。授賞式は6月1日に、石垣市で開催されます。

受賞に当たり、同会からは、「石碑建立を通じて関心が高まった八重山諸島のゼロマラリアに至る歴史を今後も伝えることで、より多くの方に感染症のない世界を作る意志を伝えていければと願っております」とのコメントを受けました。
日本で唯一のマラリアに特化した市民社会組織であるマラリア・ノーモア・ジャパンでは、ゼロマラリア賞を通じて、より多くの方が、マラリアや感染症について関心を持ち、アクションを起こすきっかけになればと考えています。

 

八重山ゼロマラリア達成の碑建立期成会の受賞理由

同会は、2022年に石垣島北部伊野田農村公園に「八重山ゼロマラリア達成の碑」を建立し、八重山で成し遂げられた偉業を次世代に継承し、世界に発信、感染症のない平和を願って、広報および住民衛生活動を行なっています。八重山地方はかつてヤキーヌシマ(マラリアの島)と呼ばれ、戦後、官民と米軍当局が連携し、マラリア対策を行った結果、1962 年世界に先駆けて八重山からマラリアを一掃した歴史を持ちます。新たな戦前、感染症時代と言われる今、石碑建立と活動の意義は大きいと評価されました。

 

 

「八重山ゼロマラリア達成の碑建立期成会」からのコメント全文

「ゼロマラリア賞という栄誉ある賞を受賞できることは、本当に嬉しく誇らしく思います。
私たちが暮らす石垣島が位置する八重山諸島は、昔からヤキーヌシマ(マラリアの島)と呼ばれ400 年以上も恐れられてきました。
第二次世界大戦敗戦前後には強制避難による戦争マラリア、加えてその後にも移民マラリアで住民は塗炭の苦しみを受けてきました。しかし、官民と米軍当局が連携したマラリア対策により、1962年には世界に先駆けてゼロマラリアに成功したという歴史があります。私たちは、この誇るべき歴史・先人達の偉業を教訓に感染症のない平和を願って、広報および住民衛生活動を行ってきました。石碑建立を通じて関心が高まった八重山諸島のゼロマラリアに至る歴史を今後も伝えることで、より多くの方に感染症のない世界を作る意志を伝えていければと願っております。」

 

授賞式開催概要

  • 日時:2023年6月1日(木)午後1時~2時 *受付は12時30分より~
  • 会場:伊野田公民館(伊野田集落センター) 〒907-0241 沖縄県石垣市桃里177-36
  • 授賞式プログラム(予定)
    Malaria No More Japanよりゼロマラリア賞授与
    受賞者挨拶
    ゼロマラリア賞受賞記念ライブ 大工哲弘さんによる「マラリア撲滅の歌」など

 

ゼロマラリア賞とは

マラリア制圧のために取り組む個人、団体を表彰するもの。具体的な支援事業の実施に留まらず調査研究、情報発信、またマラリアという言葉の認知率向上のためのアイデア作りなどに取り組む個人など、マラリアに関わるあらゆる分野の個人、団体を対象に、2014年に認定NPO法人マラリア・ノーモア・ジャパンによって創設されました。

  • 第1回(2014年度)受賞者 公益社団法人日本青年会議所
    長年の国際青年会議所による蚊帳をアフリカの子どもに送るキャンペーン「Nothing But Nets」に協力する活動が評価されて
  • 第2回(2015年度)受賞者 川本文彦・大分大学名誉教授
    アクリジンオレンジ染色顕微鏡検査法の開発、並びにマラリアとG6PD欠損症の分子疫学的研究で世界的にも有名な研究者の研究に対して
  • 第3回(2016年度)受賞者 小林潤・琉球大学教授
    長年ラオスでの活動を実施などアジアでの活動に対して
  • 第4回(2017年度)受賞者 南山舎による南風原英育著「マラリア撲滅への挑戦者たち」出版活動
    日本で最後まで残った所謂「戦争マラリア」およびその後のマラリア制圧の沖縄県での取り組みを丹念に取り上げ、戦争マラリアの実態を紹介した書籍『マラリア撲滅への挑戦者たち』の出版活動に対して
  • 第5回(2018年度)受賞者 桂歌助・落語家
    狂言「蚊相撲」をヒントに作られた、創作落語「蚊相撲」を通じて、マラリアや蚊が運ぶ病気について、エンターテインメントから情報発信を行ったことに対して
  • 第6回(2019年度)受賞 アジア・メディカル・イノベーション・コンソーシアム(AMIC)マラリア部会
    同会でこれまで推進されてきたアジアおよびアフリカ地域におけるマラリア制圧のための産官学民が連携した具体的な取り組みに対して
  • 第7回(2020年度)受賞 國井修・グローバルファンド戦略・投資・効果局長
    これまでの感染症対策・事業への長年の貢献に対して
  • 第8回(2021年度)受賞 斉藤美加・琉球大学医学研究科・助教、NGOチームがじゃん代表
    八重山からマラリアが一掃されてから60年周年 マラリア排除の偉業を伝える試みが評価されて
  • 第9回(2022年度)受賞 金子明・大阪公立大学大学院医学研究科特任教授
    永年にわたるマラリア根絶に向けたフィールドワーク研究業績が評価されて

 

マラリア撲滅の歌について

戦後、マラリア撲滅のための住民への普及啓発活動の一環として作成、流された楽曲です。2022年にMalaria No More Japanは、八重山民謡の第一人者、大工哲弘さんの全面協力を得て、楽曲を収録、映像を公開しました。

マラリア撲滅の歌(1946年)

作詞:喜友名 英文

作曲:仲里 長宜

編曲:嘉手苅 聡

歌・三線:大工 哲弘