「Forecasting Healthy Futures (健康な未来を予測する)」の最新情報

Malaria No Moreが主催する「Forecasting Healthy Futures (健康な未来を予測する:FHF)」から最新情報が届きました。
FHFは、気候変動に伴うグローバルヘルスの解決策を模索する共同イニシアチブです。グローバルヘルス、テクノロジー、公共部門のパートナーが一堂に会し、気象データに基づいた戦略や政策を策定することで、健康状態を改善し、マラリアをはじめとする蚊が媒介する致命的な病気に対する取り組みを加速させることを目的としたユニークなグループです。気象データを活用することで、政府やパートナーは、気象上の障害を機会に変えることができます。パートナーには、アブダビ皇太子府のイニシアティブである「最後の1マイルを目指せ:グローバルヘルスイニシアティブ」、 IBMの気象予報会社、非営利団体PATH、​保健指標評価研究所(IHME)、タブロウ財団などがあります。


COP28まで残り8か月を切る中、気候変動に関する議論の中心に健康を据えようとする動きが、関係者の間で広まりつつあります。

3月に、アブダビで開催された第1回「Forecasting Healthy Futures(健康な未来を予測する:FHF*1)グローバルサミット」は、この動きを加速させる機会となりました。サミットには、40カ国以上、140以上の組織から参加者が集い、気温上昇や異常気象が健康に与える負の影響をなくすために必要な投資と技術革新の可能性について様々な議論が展開されました。

サミットには、COP28事務局長を務めるマジド・アル・スワイディ大使とCOP28企画チームが参加、世界の健康問題に取り組む新たなアプローチをとることを約束しました。COP28で取り組みの道すじが示されることが期待されます。

サミット後、COP28開催まで、Malaria No Moreは「健康な未来を予測する」コンソーシアムパートナー団体をはじめ、専門家やサミット参加者からの提言に基づき気候適応資金を健康課題に投資する意義についてより説得力のある主張を練り上げる予定です。サミットで発表された主なイニシアチブを中心に、グローバル・ヘルス・コミュニティを再結集させるイベントなども計画するなど、前例のない規模の資金拠出を確保するための準備を進めています。

COP28主催者からは、FHFとそのパートナーが、気候変動の文脈でグローバルヘルスのソリューションが中心的かつインパクトのある役割を継続的に果たすことへの期待が表明されました。Malaria No Moreは引き続き気候変動と健康課題に取り組みます。

進捗状況はTwitterの@FHF_globalで確認できます

ケリー・ウィリィス
FHFグローバルサミット共同議長
戦略と普及担当マネージングディレクター、マラリア・ノーモア
FHFを代表して

*1:「健康な未来を予測する」(FHF)は、気候変動に伴うグローバルヘルスの解決策を模索する共同イニシアチブです。


「健康な未来を予測する」第1回グローバルサミットの開催を祝して

第1回「健康な未来を予測するグローバルサミット」は、気候変動に関する議論の中心に健康を位置づけ、問題の規模や求められる対応などが議論されました。40カ国以上から政府、大学、企業、グローバル金融機関、NGOなど140以上の多様なステークホルダー団体が参加しました。

セッションのハイライト

WHO事務局長であるテドロス・アダノム・ゲブレイエスス博士は、サミット冒頭で、以下の発言を行いました。「気候危機は私たち全員に影響を及ぼし、私たち全員にとってより健康で、より公平で、より持続可能な未来を築くために、国境やセクターを越えて対応するために協力する必要があります。」

『ランセット健康と気候変動カウントダウン』(The Lancet Countdown on Health and Climate Change)のエグゼクティブディレクターであるマリーナ・ロマネロ氏の基調講演では、気候変動が世界中の数百万人の生命と生活を危険にさらしていることが紹介されました。「気候変動は、私たち、私たちの健康、そして私たちの未来に関わります。私たちは、世界保健機関が『最重要の予防』と名付けたように、気温上昇を緩和し、保健システムへの負荷を軽減する必要があります。」

グローバルファンドのピーター・サンズ事務局長は、「保健分野における気候変動への備えのための資金調達:資金調達のための新しい解決策」と題したパネルディスカッションで、気候変動に強い保健システムの構築への投資について、以下のように指摘しています。「気候変動が人々の健康にますますダメージを与え、最も貧しい人々に最も大きな打撃を与えることは明白です。例えば、洪水の増加によって蚊が集まり、マラリアにかかりやすい女性や子どもが増えるなど、世界で最も致命的な病気を根絶するための取り組みがすでに妨げられています。各国が限られた保健予算に取り組む中で、気候への適応には気候に強い保健システムの構築への投資が欠かせません。」

ビル&メリンダ・ゲイツ財団のグローバルヘルス担当代表であるトレバー・マンデル氏も、変化する公衆衛生の脅威に対して、新技術や人工知能を活用した「クライメート・スマート」なアプローチを提唱しました。同氏は、サミット参加者に対し、「気候変動がもたらすグローバルヘルスの課題に先手を打つには、分野やセクターを超えたリーダーたちの協力が必要だ」と呼びかけました。

REVIEW THE FHF PRESS RELEASE(FHFのプレスリリースを確認する)
EXPLORE FULL VIDEO SESSIONS (ビデオセッションの全容を探る)
VIEW MORE PHOTOS FROM THE SUMMIT(サミットの写真をもっと見る)

ニュースの中で:オピニオン – 「COP28に先立ち、気候変動投資の中心は健康であるべきだ」

マラリア・ノーモアCEOのマーティン・エドルンドとクリントン・ヘルス・アクセス・イニシアチブ(CHAI)CEOのニール・バディ・シャー氏が共同執筆した論説では、気候適応のための支出として「ベストバイ(お買い得)」とされる、実績があり拡張可能な健康対策への投資を強く訴えました。

READ MORE(続きを読む)

ロードマップ:「COP28への険しい道のり」

 11月~12月にドバイで開催されるCOP28に向けて、「健康な未来を予測する」ロードマップは、グローバルサミットで議論された新たな取り組みを反映し、サミット参加者全員からのインプットとエンゲージメントを取り入れたラウンドテーブルの議論の集合体として設計されています。

  • 気候変動対策のための資金調達に向けた主なコミットメントを推進するための投資フレームワークとプラットフォームを確立し、現在および将来の人々の健康に対する気候変動の影響を実質的に緩和するための一連の「ベストバイ」の対策を推進する
  • すべてのステークホルダーが、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の状況と交渉に関する理解を深め、認識と行動を促す強力な語り方を作り、集合的なインパクトを与えるための枠組みを提供することで、COP28に向けて世界の健康コミュニティと民間企業の健康エコシステムを準備する
  • 既存のネットワークを活用し、民間企業や財団を巻き込み、ビジネス慣行やESG方針の整合性を図るための機会を明らかにし、気候変動に強い健康システムや対策を革新し投資する能力を総合的に促進する
  • 気候変動による健康への最悪の影響を予測して回避するために、ますます洗練された予測能力を活用しながら、AIとデータシステム利用の革新と調整を促進し、投資と世界的な行動に反映させ、世界中の疾病対策と撲滅プログラムを気候変動に耐えられるようにする

気候が健康に与える影響を強調する最新のIPCC報告書

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の新しい報告書は、気候変動がますます人間の心身と社会的な健康を脅かしていることを裏付けています。

レポート内、この図は、地球の平均気温が世代間でどのように変化しているかを示しており、世代ごとに温暖化が進んでいます。

ブレンデッド・ファイナンス:気候変動と健康に関するソリューションへの投資

気候変動やCOVID-19の影響を受け、各国が予算縮小に取り組む中、ブレンデッド・ファイナンスは、増大する医療投資ニーズに対応するための不可欠な戦略であることが証明されています。(世界の開発コミュニティのメディアプラットフォームである)Devexは、「グローバルヘルスのニーズに対応するためのブレンデッド・ファイナンスの活用法」と題し、ヘルス・ファイナンス・コアリション(HFC)のマネージングディレクターであるコリーン・コネル氏と、同事務局長でMalaria No MoreのCEOマーティン・エドルンドに、現在のところ他のセクターに比べて遅れている保健分野へのブレンデッド・ファイナンスを拡大する方法について聞きました。

READ MORE (さらに読む)

日本語訳文責:Malaria No More Japan


マラリアと気候変動に関するソリューション研究所(IMACS)の最新情報や、健康と気候変動に関するニュースは以下の英語サイトをご参照ください。

IMACS UPDATES

The Institute for Malaria and Climate Solutions (IMACS) is a virtual center of excellence established to advance the discipline of weather-informed malaria prediction and planning and to support its integration in malaria control programs worldwide.

IMACS EXPERT FEATURED BY DUKE UNIVERSITY 

In this new video featuring one of our Expert Network members from Duke University, Dr. William Pan of the Duke Global Health Institute and Nicholas School of the Environment, discusses how human health is intricately tied to climate change and its impacts on our environment.

WATCH:   Understanding How Climate Change Impacts Human Health

JOIN US! 

Are you on the frontlines of discussions on climate, technology, and infectious disease? We want to hear from you! Consider joining the IMACS Expert Network, a growing global network of experts that meets monthly to discuss disease early warning systems, prediction and planning tools, and other innovative solutions to the challenges posed by global warming.

LEARN MORE ABOUT IMACS 

IMACS WEBINAR SERIES

Our upcoming webinar on data visualization will be held on Thursday, April 27th, with PATH’s Data Visualization Specialist Jonathan Drummey sharing strategies to adapt visualizations for various end users and improve data for decision-making.

REGISTER HERE

HEALTH & CLIMATE IN THE NEWS

MALARIA PREDICTION TOOLS EXIST. BUT WHY AREN’T THEY USED AT SCALE?
DEVEX

CLIMATE MAKES UAE PRESIDENT’S PHILANTHROPY RETHINK DISEASE ELIMINATION
DEVEX

UAE TO HIGHLIGHT CLIMATE CHANGE RISKS TO PUBLIC HEALTH AT COP28 
GULF NEWS

DEFUNDING PREVENTION AND CLIMATE CHANGE DRIVE REBOUND OF MALARIA IN PERU
EUREKALERT!

5 CHARTS FROM THE IPCC REPORT THAT SHOW WHY EVERY INCREMENT OF WARMING MATTERS
WORLD ECONOMIC FORUM

5 KEY LINKS BETWEEN CLIMATE CHANGE AND HEALTH
GAVI

CLIMATE’S IMPACT ON HEALTH: HOW DO WE RESPOND
DEVEX

THE IPCC’S CLIMATE REPORT HAS DRAWN THE BATTLE LINES FOR COP28: OIL PROFITS OR A LIVABLE FUTURE
THE GUARDIAN

CURRENT HEAT WARNING SYSTEMS ARE WOEFULLY INADEQUATE IN AN AGE OF CLIMATE CHANGE
STAT NEWS

THE WORLD IS CHANGING — OUR APPROACH TO HEALTH MUST CHANGE, TOO
THE HILL