定款

定款

マラリアの脅威から解放されて久しい日本ではその現実を実感しにくいが、今なお、世界人口の約半分がマラリア感染の脅威にさらされており、世界保健機構の調査によると、2010年には約65万人がその犠牲となっている。犠牲の9割は貧困に苦しむサブ・サハラ以南のアフリカで発生し、多くは5歳以下の幼児である。そこには、一分間に一人、命を落とし犠牲となっている現実がある。彼らの尊い命は、適切な対応が出来ていれば、救える可能性のあった命であり、そして、マラリアを撲滅することは、子供の命を救い、死亡率を低下させるばかりではなく、貧困の負のスパイラルから脱却することに繋がる。

マラリアは、予防・治療が可能な感染症であり、防虫加工を施した蚊帳などを使用することにより感染を防ぐことができ、そして、早期の正確な診断・適切な治療を受けることにより治癒する可能性が高くなる。事実、蚊帳、診断キットや治療薬の配布など国際機関などの積極的な取組みにより、2000年からの10年間で、マラリアによる世界の死亡率は約20%削減されてはいるが、根絶までにはさらなる世界的な取組みが必要なのが現状である。

「Malaria No More(マラリア・ノーモア)」は、マラリア撲滅を目的に2006年から国際的な取組みを実施している非営利活動法人である。アメリカに本部を置き、カナダ、英国、そして、オランダに支部を置いている。われわれはその活動に賛同し、かつてマラリアが発生し克服した経験をもつ日本がアジアの中心となりマラリア撲滅の活動を展開することに強く意義を感じる。2015年のミレニアム開発目標の達成にむけ、アジア諸国を中心に世界的なマラリア撲滅の潮流を作り、啓発・政策提言活動を実施することを目的とし「Malaria No More Japan(マラリア・ノーモア・ジャパン)」を設立する。

「Malaria No More Japan(マラリア・ノーモア・ジャパン)」は、2013年6月に横浜で開催される第5回アフリカ開発会議(TICAD V)やワールド・マラリア・デイ(4月25日)でのイベントやキャンペーンの実施、啓発活動を促進するためのコミュニケーションツールの開発・普及、政策提言を行う。さらに、海外での啓発活動の地理的拡大を図るためアジア地域で活動する他団体との連携を強化し、精力的に各種取組みを実施し、アフリカとアジアでのマラリアによる犠牲者を無くすことにより、途上国の人々の生活を向上させ、より持続可能な社会づくりに寄与することを目指す。

2012年10月吉日
Malaria No More Japan(マラリア・ノーモア・ジャパン) 理事長
神余 隆博