Malaria No More UKとALMAが報告書を発表

マラリアの再興は命と経済を奪う——新報告書『撤退の代償』が示す未来の危機とは

〜マラリア対策の資金減が引き起こす「成長の喪失」と「次世代の未来の危機」〜

マラリア・ノーモアUK(Malaria No More UK)とアフリカン・リーダーズ・マラリア・アライアンス(ALMA)はこのたび、共同で作成した最新報告書『撤退の代償(The Price of Retreat)』を世界に向けて発表しました。日本語版は、認定NPO法人 Malaria No More Japan(マラリア・ノーモア・ジャパン)の責任の下で作成・公開されたものです。

報告書の背景と目的

本レポートは、2025年11月に予定される「第8次グローバルファンド増資」に向けて、マラリア対策への投資がもたらす社会的・経済的な価値を国際社会に伝えることを目的としたものです。

報告書が警告する3つの主要インパクト:

人命への影響:

  • グローバルファンドの資金が減少し、予防的介入策が実施できなかった場合、2030年までにアフリカで90万人以上が死亡、うち約75万人が5歳未満の子ども

経済への打撃:

  • 予防的介入策が実施できなかった場合、マラリア再興により、アフリカのGDPは830億ドル減少
  • 最悪のシナリオでは、2040年までに4,000億ドル超の損失が発生。

教育と次世代への影響:

  • マラリアによる学業中断が、将来所得を制限。グローバルファンドの増資が20%削減された場合、2040年までに同地域の所得は57億ドル減少

一方、グローバルファンドの資金が十分に拠出され、マラリア世界技術戦略(GTS)目標が達成された場合、同期間でアフリカのGDPは2,300億ドル増加し、G7諸国との貿易も拡大するという試算が示されています。

グローバルファンドの役割と重要性

「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(通称:グローバルファンド)」は、マラリア対策における最大の国際資金提供機関であり、これまでに203億米ドル超を投じ、全世界のマラリア対策資金の約59%を支えてきました

資金が不足すれば、予防的介入策(蚊帳・殺虫剤・予防薬など)が失われ、マラリアの再興により多くの命と経済的機会が失われるリスクがあります。

Malaria No More Japanのメッセージ

「マラリア対策は“命への投資”であると同時に、“経済への投資”でもある——これはMalaria No More Japanが強く訴えているメッセージです。アフリカの未来を支えるか否かは、私たち拠出国の決断と行動にかかっています。」— 認定NPO法人 Malaria No More Japan

【資料ダウンロード】

日本語版 要約:撤退の代償 – THE PRICE OF RETREAT (要約版)

日本語版 報告書全文:撤退の代償 – THE PRICE OF RETREAT(圧縮サイズ)

オリジナル報告書:https://economy.zeromalaria.org/