ゼロマラリア達成のために強力な保健制度と継続した投資がカギ:RBM Partnership to End Malariaが声明
世界マラリアデーまで30日。ジュネーブに本部を置く国連のマラリア専門機関「RBM Partnership to End Malaria」は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)流行の今こそ、ゼロマラリア達成の努力が必要だと述べました。
本記事はRBM Partnership to End Malaria(3月25日発表)を抄訳したものです。
2020年3月25日、ジュネーブ – 2020年の世界マラリアデー(毎年4月25日)では、COVID-19の世界的に流行している今こそ、マラリア感染の危機にさらされる何百万人もの最も脆弱な立場の人を守るために、強靭な保健と監視機能、そしてマラリアの予防と管理介入が重要と考えます。世界マラリアデーではゼロマラリア達成のための進捗を知り、そのために取り組む意思を確認し合う必要がある、と考えます。
現在のCOVID-19のパンデミック状況に対し、2020年の世界マラリアデーではマラリアを含む既存の感染症を防ぎ、COVID-19のような新たな感染症のアウトブレイクに効果的に備えるための強靭な保健システムの構築とその支援活動に対してより一層の投資が必要であると考えます。
RBM Partnership to End MalariaのCEOであるアブドゥラハム・ディアロ(Dr Abdourahmane Diallo)博士は、「COVID-19のパンデミックという状況に対して、アフリカにおいて今なお主要な子どもの死亡原因のひとつであるマラリアをはじめとする、重大な感染症に対応するための強い保健システムの重要性を思い起こす必要があります。マラリアへの対策は投資の増加によってのみ達成するのであり、世界マラリアデーは、世界のリーダーにマラリアと言う予防も治療も可能な病気へのコミットメントを改めて思い起こしてもらう日でもあります。
マラリアにかかるリスクを回避するためのあらゆる必要な手段や、マラリアやマラリアによって引き起こされる極度の貧困のサイクルを食い止めるための新たな手法を研究し推し進めるためには、年間20億ドルの資金が、追加で必要です。マラリアやCOVID-19といった新興感染症のために、私たちはさらなる努力が求められているのです」と述べています。
世界マラリアデーの2020年のテーマは「ゼロマラリア:私とはじめよう(Zero Malaria Starts with Me)」。どこに住んでいようと、誰ひとり蚊に刺されて命を落とさないようにすることにすべての人に力と責任がある、と呼び掛けています。アフリカで始まっている、政治指導者や民間企業、コミュニティ、住民を動員することを目指す同名タイトルキャンペーンに触発され、家族やコミュニティ、そして国もマラリアから解放されることを目指します。現在14か国が参加を表明したほか、参加を検討中の国もあります。
2020年の世界マラリアデーでは、マラリア感染者数の7割を占めるアフリカ諸国に主に焦点を当てます。政治的意思決定者、民間企業、市民社会、アカデミアや一般の人々が参加し、世界的なマラリア制御とゼロマラリア達成に向けた取り組みにコミットします。
このキャンペーンはもちろんアフリカだけではなく、インドやメコン河流域といった、マラリア流行国において、近年マラリア感染件数の減少に成功した事例や、ゼロマラリアを宣言した国、現在ゼロマラリア宣言に向けた最終段階にある国にも光を当てるものとなっています。
マラリアは蚊に刺されて命を落とすだけではなく、貧困や不平等という人災にも関連しています。このことは、とりわけサブサハラアフリカに暮らす妊婦や5歳未満の子どもに当てはまります。2018年、サブサハラアフリカで生まれた子どものうち約90万人が、妊娠中のマラリア感染により低出産体重児として生まれ、世界全体のマラリアによる死亡の3分の2が、5歳未満の子どもとなっています。
RBM Partnership to End Malariaとは
「RBM Partnership to End Malaria」はゼロマラリアに取り組む世界最大のプラットフォームです。1998年にロールバック・マラリア(RBM)として発足して以来、多岐にわたるパートナーの各種活動をコーディネートし連携を進めます(2018年に現在の名称に)。現在マラリア流行国や二国間・多国間援助機関、民間企業、NGO、地域機関、財団、研究機関など、パートナー団体は500以上にのぼります。endmalaria.org
Facebook: @RBMPartnership
Twitter: @endmalaria