AUマラリア進捗レポート2021公表
(2月5日付)第35回アフリカ連合総会を前に、アフリカン・リーダーズ・マラリア・アライアンス(ALMA)、アフリカ連合委員会、マラリア撲滅のためのRBMパートナーシップは、2021年アフリカ連合マラリア進捗報告書を発表しました。
この報告書は、アフリカ大陸におけるマラリアの現状について最新情報を報告しています。AU加盟国とそのパートナーがマラリア対策サービスを維持し、2030年までにアフリカからマラリアを撲滅するという目標に向けて前進するために行った活動、直面した課題、学んだベストプラクティスを取り上げています。また、本報告書では、アフリカ連合総会による要請と行動の呼びかけに関する最新情報も提供しています。
主な報告概要
マラリア対策の現状
- アフリカ大陸は、「2030年までにマラリアを撲滅する」という目標達成には未だ遠い状況にあります。「2020年までにマラリアの発生率と死亡率を40%削減する」目標を達成できませんでした(6加盟国が少なくとも1つの目標を達成)。
- 2020年のアフリカにおけるマラリア患者数は2億3,200万人(世界全体の96%)、マラリア死亡者数は611,802人(世界全体の98%)と推定され、2019年と比較してマラリア死亡者数は68,953人増加しました(うち49,000人は、COVID-19のパンデミックによるマラリア対策事業の実施や保健サービスにおける混乱が原因とされる)。
- 改訂されたWHOの推計によれば、マラリアによる死亡者数はこれまでの推定よりも大幅に増加しており(例えば、2015年以降、693,617人の追加マラリア死亡者)、マラリア対策の緊急性が高まる結果となっています。
- 現在、各国のマラリア戦略計画における活動の約63%が資金不足であり、資源の増強に向けた各国の取り組みが求められています。
説明責任と行動のためのデジタル化とスコアカード
- 加盟国のうち40カ国・地域でマラリアスコアカード、29のRMNCAHスコアカード、8のNTDsスコアカード、3の栄養スコアカードを実施し、5加盟国は、説明責任と行動、効果的なプログラム管理のためのリアルタイムデータの使用を推進するために、コミュニティレベルのスコアカードを実施または実施中であヵ。
- 13ヵ国は、ALMAの支援を得て自国のスコアカードを公開しています。
- データの質と適時性を高めるため、マラリアに関する国別データリポジトリ(データの一元的格納)を導入しています。
多セクターによるアドボカシー、アクション、資金動員が求められる
- 2021年にはコンゴ民主共和国、マラウイ、マリ、ナミビアを含む23カ国が「マラリアゼロは私から始まる!」国家キャンペーンを開始しました。
- 15カ国がマラリア撲滅評議会&基金(EMC)を発足または発表し、さらに10カ国が計画中です。EMCは、多部門にわたるアドボカシー、行動、そして国のマラリアプログラムを支援するための数百万米ドルを動員することに成功しました。
- ウフル・ケニヤッタ大統領の指示のもと、ALMAは大陸間マラリア・ユース戦略を立ち上げ、ケニアはマラリアとの闘いを推進する若いリーダーを動員するため、初の「青年軍」を発足させました。
地域および国境を越えた協力関係
- 地域経済共同体(REC)は、2021年に開始した五大湖マラリアイニシアチブ(EAC)など、地域スコアカードと行動計画を実施しています。
- サブリージョナル・イニシアチブ(サヘル、MOSASWAなど)は、重要な国境を越えた調整と協力を引き続き支援しています。
救命物資へのアクセス
- 加盟国は、COVID-19の世界的パンデミックによるサプライチェーンのボトルネックを緩和するために積極的に行動していますが、混乱は依然として加盟国のマラリア対策と広範な保健サービスを維持する能力への脅威となっています。
- 殺虫剤と薬剤耐性の増加は、マラリアの予防と治療に用いられる救命ツールの有効性に対する大きな脅威であり、次世代商品の展開を拡大する必要があることを示唆しています。
- 2021年に世界で初めてマラリアワクチンが承認されたことは、各国が既存の介入策(IRS、ITN、SMCなど)と組み合わせてマラリアと闘うための新たな手段を手に入れたことを意味します。
- 新しいツールはコストが高いため、追加的なリソースと、これらの商品のより良いターゲティングと配分をサポートするためのデータの強化の両方が必要となります。