アジア開発銀行とMalaria No More、革新的感染症対策「ExCITD」で連携合意
(2025年7月8日 マニラ発)国際NGO「Malaria No More」と、グローバルな保健資金調整機関「Health Finance Coalition (HFC)(ヘルス・ファイナンス・コアリション)」は、2025年7月8日、アジア開発銀行(ADB)との新たな連携協定(MoU)を締結しました。この協定は、マニラで開催された「INSPIREヘルス・フォーラム」のパートナーシップ・ナイトにて正式に署名されました。
本協定は、アジア太平洋地域におけるマラリア、デング熱、結核といった複雑かつ難治性の感染症への対策を強化するための取り組み 「ExCITD(Ending Complex and Challenging Infectious and Tropical Diseases:複雑・困難な感染症および熱帯病を終息させるイニシアチブ)」 の一環として行われたものです。
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気候変動が引き起こす感染症の再拡大
近年、アジア太平洋地域では、気候変動や医療体制の混乱を背景に、マラリアやデング熱の深刻な再拡大が懸念されています。今回の連携は、こうした「気候感受性の高い感染症」に対応するため、革新的な技術を活用し、資金動員を促進することを目的としています。
革新技術のスケールアップを支援
現在、以下のような次世代の技術が実用化に向けて進展しています。
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デング熱対策:Wolbachia細菌を活用した蚊の制御技術、次世代診断技術、新型ワクチン
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マラリア対策:AI搭載の防虫ネット、マラリアワクチン、リアルタイムの感染監視システム
これらの技術を各国で拡大し、実装を加速するためには、新たな資金供給モデルと公的・民間の連携が不可欠です。
アジア・太平洋を「保健イノベーションの拠点」に
Malaria No MoreのCEO、マーティン・エドルンド氏は、次のように述べています。
「アジア開発銀行とのパートナーシップにより、マラリアやデング熱など、気候変動の影響を受けやすい感染症への対策資金を動員する第一歩を踏み出しました。これは単なる感染症との闘いではなく、アジア太平洋地域を世界の保健イノベーションと製造の拠点として位置づけるチャンスでもあります。」
今後は、各国のニーズに応じて効果的な対策をスケールアップし、持続可能で強靭な保健システムの構築を支援していきます。
INSPIREヘルス・フォーラムとは
INSPIRE(Inclusive, Sustainable, Prosperous and Resilient)ヘルス・フォーラムは、アジア開発銀行が主催するアジア太平洋地域最大級の保健関連イベントです。2025年7月7~11日にマニラおよびオンラインで開催され、気候変動と保健、感染症対策、イノベーション推進、資金調達、パートナーシップなど幅広いテーマで、政策担当者、専門家、企業、NGOが議論を行いました。今回のMoU締結は、このフォーラム期間中の「パートナーシップ・ナイト」で実施されました。