ゼロマラリア賞授賞式開催

特定非営利活動法人マラリア・ノーモア・ジャパン(神余隆博理事長、東京都千代田区)が主催する、2030年までにゼロマラリアを達成するという国際社会の目標に寄与する活動に取り組む個人・団体を表彰する、第10回ゼロマラリア賞授与式が20日、沖縄県石垣市桃里(とうざと)にある伊野田公民館隣の農村公園広場内で開催、長島美紀理事かより重山ゼロマラリア達成の碑建立期成会(仲原清正会長)へ表彰状をお渡ししました。

八重山ゼロマラリア達成の碑建立期成会は、2022年に石垣島北部伊野田農村公園に「八重山ゼロマラリア達成の碑」を建立し、八重山で成し遂げられた偉業を次世代に継承し、世界に発信、感染症のない平和を願って、広報および住民衛生活動を行なっています。八重山地方はかつてヤキーヌシマ(マラリアの島)と呼ばれ、戦後、官民と米軍当局が連携し、マラリア対策を行った結果、1962 年世界に先駆けて八重山からマラリアを一掃した歴史を持ちます。新たな戦前、感染症時代と言われる今、石碑建立と活動の意義は大きいと評価されました。

授賞式では、八重山民謡の第一人者である大工哲弘氏による「マラリア撲滅の歌」が披露され、八重山諸島からマラリア感染者がいなくなってから60年というその偉業を祝いました。

Malaria No More Japanからは神余理事長の代理として長島美紀理事が参加、神余理事長のメッセージを代読しました。

 


神余理事長からのメッセージ

この度は、記念すべき第10回ゼロマラリア賞を「八重山ゼロマラリア達成の碑建立期成会」の皆様へお贈りすることになりましたこと、誠にうれしく思います。

2014年に設立されました本顕彰事業は、マラリアに関する具体的な支援事業の実施に留まらず調査研究、情報発信、またマラリアという言葉そのものの認知率向上のためのアイデア作りなどに取り組む個人など、マラリア制圧のために取り組む個人や団体を表彰する目的で始まりました。これまでに、アフリカの子どもへ蚊帳を届けるキャンペーンやマラリア対策の専門家、支援の第一線で活躍されている個人や団体へお贈りしてきました。

私どもMalaria No More Japanでは折に触れて沖縄、とりわけ八重山諸島のマラリア制圧の歴史を紹介するイベントや企画を何度か行っていました。マラリア対策に取り組む専門家や国際的な感染症の問題に関心のある方の中でも、八重山のゼロマラリアの歴史はほとんど知られていないことから、日本のゼロマラリアの歴史に光を当て、歴史から学ぶ重要性をこれまでにも発信してきました。

その意義を改めて実感したのが、昨年2022年です。沖縄返還50年に当たる昨年は、同時に八重山諸島からマラリアがなくなって60年という記念すべき年でもありました。その年に、私どもMalaria No More Japanは石垣市民会館でのイベントを開催する機会に恵まれ、またそのイベントを通じて「八重山ゼロマラリア達成の碑建立期成会」の取り組みも紹介させていただきました。

新たな感染症の時代と言われる今、「八重山ゼロマラリア達成の碑建立期成会」の皆様の取り組みが石碑として、伊野田地区に設置されたこと、そして八重山で成し遂げられた偉業を次世代に継承するとともに、世界に向けて発信し、感染症のない平和を願って行われる、住民衛生活動の意義は極めて大きいと考えます。今回のゼロマラリア賞選考に当たり、この点を高く評価いたしました。

マラリアは、患者がいなくなったから、死者がいなくなったから、終わるわけではありません。衛生状況の悪化や温暖化などによる生態系の変化で、いつ再び流行するかわかりません。そんな時代だからこそ、歴史から学び、未来に備える意義が高いのです。

皆様の活動が、さらなる発展をすることを願ってやみません。

本日は本当におめでとうございました。

 

2023年6月20日

特定非営利活動法人Malaria No More Japan

理事長 神余隆博