パプアニューギニア視察
2024年10月、アジア太平洋リーダーズ・マラリア・アライアンス(APLMA)の支援を受けて、Malaria No More Japanはアジア太平洋島嶼国のひとつ、パプアニューギニアを訪問しました。訪問に当たり、金子明・大阪公立大学特任教授も同行し、同国におけるマラリア対策の可能性について専門家の視点から保健省、研究機関やマラリア対策に取り組むNGOらと意見交換を行いました。
安全保障上の観点から、その戦略的位置づけの重要性が高まりつつあるパプアニューギニアは、アジア太平洋地域で最もマラリアが流行している国のひとつです。2022年には、西太平洋地域の全マラリア患者の90%、全マラリア死亡者の94%を占め、同国における死因のトップ10のひとつとなっています。近年では、気温と降水量の着実な上昇に伴い、マラリア流行の標高境界が上昇し、流行が拡大する可能性も指摘されています。2023年に世界保健機関(WHO)が発表した「世界マラリアレポート2023」では、2021年から2022年にかけて感染者が40万人増加したと指摘されています。
日本政府は、1997年より3年毎に太平洋島嶼国の首脳レベルを日本に招待し、太平洋・島サミット(PALM)を開催。2024年7月に開催された第10回同サミット(PALM10)では、太平洋諸島フォーラム(PIF)の「2050年戦略」に定められた7分野に沿って、「人を中心に据えた開発」「資源と経済開発」「気候変動と災害」「技術と連結性」など7つの重点協力分野を設定し、支援を実施しています。
PALM10に先がけ、独立行政法人国際協力機構(JICA)が2022年7月に策定した国別分析ペーパーによれば、日本政府は、自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP)の実現に向け、PNG を含む同志国との連携を強化する考えであり、 PNG においても、トップドナーである豪州を中心に、 同志国との連携・協調実施を積極的に検討・協議しながら、事業展開を効果的にすすめていくことを表明しています。今回の訪問は、日本のPNGへの重点協力分野に基づき、日本から民間企業の技術力と研究機関の専門性と経験を活用した新たなマラリア対策を提案することを目的に、今回の訪問が行われました。
訪問に当たっては保健省のマラリアコーディネーターやPapua New Guinea Institute of Medical Research (PNG IMR)、PNG Rotarians Against Malaria(RAM)らと意見を交わしたほか、首都ポートモレスビーから車で1時間半ほどに位置するCentral Province and Port MoresbyのKwikilaの病院を視察するなど、精力的に動きました。また、在パプアニューギニア日本大使館や国際協力機構(JICA)事務所を訪問、同国でのマラリア対策の可能性も意見交換が行われました。
Malaria No More Japanでは今後も引き続きPNG支援について関係者と協議、提案したいと考えています。