開催報告②:第2回「アフリカにおける感染症とUHCに関するPre-TICADサミット」

マラリア・ノーモア・ジャパン(MNMJ)は3月7日、今夏に開催予定の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に向けたハイレベル会議を衆議院第一議員会館国際会議場で開催しました。5つのセッションで構成された会議には、政府や国際機関、企業、NGO、市民社会の代表が一堂に会し、エイズ・結核・マラリアの3大感染症の対策や気候変動・紛争に起因する健康危機への対応について議論。アフリカにおけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に向け、マルチセクター連携による支援の可能性を探りました。

今回の会議は、TICAD9に向け2024年4月に開催した会議に続く2回目です。MNMJの神余隆博理事長は冒頭のあいさつで、8月20~22日に横浜市で開催されるTICAD9を念頭に、「アフリカの成長を妨げる要因であるマラリアをはじめとする感染症や健康課題を多角的に議論し、8月の本会議に向けた提言につなげたい」と期待を述べました。

続いて英利アルフィヤ外務大臣政務官による「我が国のTICA9の取り組みを通じたグローバルヘルスへの貢献」と題した基調講演では、エイズ・結核・マラリア対策を担う官民連携基金「グローバルファンド」の設立を日本が主導し、アフリカの医療従事者や研究者の人材育成にも取り組んできたと述べ、「日本は長年にわたり国際保健分野の議論をリードしてきた」と言及。TICAD9については、世界の保健課題の解決策を議論する場となるよう協議を進めていると明かし、「UHC達成の目標年である2030年まであとわずか。日本政府は多様なパートナーと連携し、革新的な解決策を示す」と決意を表しました。

もう一人の基調講演者は、この会議のために来日されたアフリカ指導者マラリア同盟(ALMA)事務局長のジョイ・プマフィ氏です。アフリカは気候変動の影響に加え、武力紛争や難民問題、薬剤耐性を持つ蚊の増加など多くの課題に直面する中で、「アフリカでのマラリア対策に充てる国際資金の約6割を拠出するグローバルファンドの支援により、2000年以降にエイズや結核を含む6500万人の命が救われた」と感謝を述べます。一方で「現在の対策を維持するだけで毎年15億ドルが必要」と指摘し、「私たちが求めるのは変革。TICADを通じて日本とアフリカが協力し、大胆な戦略を打ち出す必要がある」と語りました。

ここで、今回参加がかなわなかったケニア保健省長官デボラ・ムロンゴ・バラサ氏からのメッセージを、駐日ケニア共和国大使館特命全権大使モイ・レモシラ氏が代読しました。TICADがアフリカと日本の強固なパートナーシップを促進してきた点を高く評価した上で、「すべてのTICAD関係者に、世界の健康課題を最優先に据えることを強く求める」と訴えます。「強靭(きょうじん)な医療システムへの投資、気候変動に適応した医療対策の推進、そして官民連携の強化が、アフリカの未来を守る鍵となる。私たちは、誰一人取り残さないというUHCの理念を実現するため、ともに歩んでいかなければならない」。